ふるさとの文化財めぐり

その日は冷害凶作の後遺症のような秋雨の降る日で、市教育委員会募集の〝文化財めぐり〟に参加させていただいた。昨年11月29日だった。市役所車庫前集合で、九時には全員顔ぶれが揃った。参加者は全員ご婦人ばかりで、老爺一人では圧倒されそうだった。

日程表が市役所の係員から配られ、見学のあらましの説明があり、会員9人と市役所から二人の係が案内役に添乗してバスは発車した。小通の太子堂は初めての拝観だ。他の所は何度も見ているが、改めて見ると、なつかしさと好奇心もあって、内心期待して出かけた。

日頃市町関谷洞窟で約一時間、親切に解説してくれたが、、私の聴力に欠陥があって理解できかねるところもあったが、説明書を頂いているので、だいたいは解った。見学と写真撮影の方は目的を達成することができた。初めて拝観する小通の太子様と、ここでは柿の冷害ぶりも観察すると言う二股かけての観察で、発車のバスに乗り遅れそうになり、皆さんに大変ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。

物を書いていて他事に思いが分裂するのが私の悪い癖で、また太子様の話に戻りますが、享和3年、宝暦9年、天明8年と、気の遠くなるような大昔の仏様が千年以上もの年月を災害にも遭遇せずによく保存されたものと感心した。

小通を出る時も小雨が降り続き、立根町細野の一里塚は車窓から見上げ、車内で説明がなされ、そのまま長谷寺へ向けて発車した車は予定時間どおり運行され、市を代表する岩手県指定の有形文化財、竜福山長谷寺、十一面観音菩薩を拝観してお寺の座敷を借り昼食をご馳走になった。

雨はその後も意地悪く降り続く。長谷寺の仏像は施設管理とも立派なものだが、寺の周辺も整備され道路も立派に舗装されて、ポンプ置き場なども移転し、きれいになったので遠来のお客様なども案内して拝観をさせたいと思った。

昼食も終わって次は末崎町に向けて出発した。やっと雨がやんだ。泊の熊野神社に参拝し、境内の天然記念物・三面椿を見て、一行は記念撮影となった。

最終見学の市立博物館には館長がおられ、椿の挿し木のご指導をしていただいているので、その後の生育管理のお話など聞いて、文化財めぐりは無事に終わった。そこで私の感じたことは、文化財の不足なことと、洞窟付近内部清掃と、出来得るなら奥に電灯をつけて、あの大ドウムをみんなに参観させたいと思う。見たならみんなが驚くだろう。

文化財を後世に継承するためにも管理費に予算をおいたらどうか。小通の太子像の戸障子は見るも気の毒なくらい破損していたが、なんとかならないものだろうか。次に、私は人に会うたび、うるさい程言うが、細野、丸森の一里塚も文化財なら、盛街道水沢-107号、北上-奥四ケ浜道三陸と、今泉街道の基点がはっきり解っているのに、なぜ権現堂の槻前に元標を建てないのだろうか。立派な文化財となるだろうが…と思った。

文化財めぐり、ご案内下さった方と、共に楽しく見学させていただいたご一緒のご婦人方、大変ありがとうございました。またよろしくおねがいします。