思い出の記」カテゴリーアーカイブ

写真用フィルムが普及する以前から使われていた乾板です。
柔らかいフィルムではなく、ガラスの板をベースとしています。

乾板

当館では創業から昭和30年代頃まで使っていましたが、
昭和40年頃を境に、全面的にフィルムに移行したようです。

当時、祖父はこれを木製のホルダーに入れて、
カメラ、三脚等と共に自転車に積み、撮影地に出向いていたとの事。
一枚手に取るたびに、汗をかく祖父の姿が思い浮かび、
当時の風景に思いを馳せます。

戦時中、防空壕に持ち込んだ際に大半が湿気で駄目になり、
さらに地震や事故で割れた乾板も少なくないため、
現存するものは数百枚に留まります。

祖父の思いと変わらぬ価値を伝える、当館の原点です。


佐藤写真館のHPにひっそりと掲載している「思い出の記」。

このエッセイは20数年前、私の祖父が地元紙(東海新報)に投稿し掲載されていたもので、
祖父自身はいずれ、一冊の本として出版するべく準備を進めていたようです。

あの時代(大正)に写真を志し奔走した日々、気仙地方への思い、古きよき街並みの情景などが
鮮明に記された内容は、必ず共感を持って御覧いただけるものと確信し、
どなたでもご覧になれるよう、出版ではなくHPに掲載する形で公開させていただきました。

掲載当初から度々お問い合わせを頂きましたが、
その中に、「写真を掲載してほしい」というご要望が何度かありました。
ご指摘の通り、もともと写真掲載ありきで書かれた内容ですので、
文章だけでは伝わらない部分も多くあります。

これにつきましては今後、著作権の表記など準備を整えた上で、
可能な限り写真を掲載し、内容を充実させていきたいと考えております。