佐藤写真館

野形(綾里)の不動様

昭和63年10月26日

野形の不動様

年一度の例祭ときいて、十何年ぶりで綾里のお不動様を参拝した。昭和初年には九十九曲りの綾里峠の険しい道を、ある時は不動神社に降り、帰りには滝を眺め登りは道中の安全を祈って参詣し、霊気漂うあの渓流と苔むした岩肌に真夏の暑さもいっペんに消散し、何んとも言い知れぬやすらぎを満喫して峠の急坂を週一回の日程で往復した時もあった。

芭蕉の句に

○しずけさや岩にしみいる蝉の声

今まで何度も訪れてはいるが、年一度の例祭にお詣りしたのは今年初めてなのだ。

昔と変りないあの景観と心にしみる滝の音、秋は紅葉と参道には、一面に散乱する〝トチの実〟が印象深くなつかしい。

チャンス到来

小林旭が映画のロケに来ていると言う。

この絶好の機会に愚考を申し上げます。今年は二度お不動様に参詣して、あの名所を撮影するのが一つの目的で、広く宣伝したいのが私の念願なのです。

お祭りの時より二度目に行った時には、参道も清掃整備されて足場も大分良くなってはいたが、気のつくまま申し上げますと、 流れの小さな川ですが、景観上、赤い吊り橋に手摺り(六尺もあれば見映えがする)でもつけて、そこから天然の石段をつける(コンクリートや切り石ではなく、野形などの川に多い自然石を選ぶこと)。

それから神社の説明文は駐車場入り口前に建て替えること。説明も必要かと思うが、設置場所によっては、かえって周りの景観を悪くする。

次にトイレもぜひ必要なのだが、これも休憩所と共に、参道外に置くことと、電気を配線することも早急にやってほしい。また地元民と話し合って、今撮影中の映画に、「野形太鼓」の協演等も交渉してみてはどうですか。千載一遇の好機会、見逃す手はないだろう。地元民の熱意と協力があれば経費などは大したことがないと思う。以上は、さし当たり急を要する事業だと思われるが…。

新トンネルを

次に、リゾートエリアヘの提案だが、名所と距離と交通が重大な問題となる。どんな絶景の地でも距離が遠いと敬遠される。交通が不便な所には誰も行きたがらない。綾里~大船渡間の合足トンネルの開通も間近だが、それでも赤崎町~小路の間は、かなり遠回りだ。

距離を短縮するには、野形から永浜にトンネルを掘削すると、合足回りにくらべ半分の距離になり、赤崎町の県道の交通難も大分緩和され、不動神社もかなり近くなる。

また、三鉄を利用しても、気仙管内の学童等の遠足コースには絶好の場所です。社殿の改築とか不動温泉の開設等は将来課題として-あの沢の観光開発には綾里ダム建設と平衡して道路の拡張と舗装が急務と思われる。

思うことが思うように行かないのが世の一般と心得てはいるが、最初から大きな構想では採算が行き詰まるだろうが、小さな文化遺跡等を掘りおこして、リゾートエリアの参考にでもなれば幸いと思います。

年老いたせいか、世間の事物が目につきやすく気になり、ファインダーに飛び込む物は何んでも撮影するのが私の生きがいでもあり、また、語り放題が私の悪い癖で、手当たり次第に写すことと、物を書くことが楽しみな昨今です。ツメのアカ程の参考にでもなればと思い、失礼ながら申し上げます。あしからず…。

提案

映画『春来る鬼』 のロケ本決まり-。去る七月二十七日付の新聞報道か見て、自分の事のようにうれしくなって、愚案を申させて戴きます。

綾里の野形不動神社周辺を中心に、ロケーションのため地域整備と撮影用セットの建築と、ヒエ畑の植え付けなど、かなり大がかりな作業となろうが、ロケ終了は十一月との事ですが、その建築物等はすべてそのまま解体せずに、保存払い下げが出来ないものだろうか。

それから前文にも書きましたが、案内板は境内の入り口に移転すること、神橋を神社の直前の流水に奉納して景観を引きたてたいと思います。化粧橋は鉄製にして約一間と幅二尺位あります。運搬設置をお引き受け下されば、私のやすらぎの場所に、八十三歳の長寿の感謝を祈念して奉納申し上げたいと思います。